建築クリエイター/「株式会社アートモリヤ」代表取締役 守谷玲太さん
湘南藤沢エリアを拠点とし、住居のリノベーションを中心に設計施工を行う「株式会社アートモリヤ」の守谷玲太さん。生まれ育った地元・藤沢に事務所を構え、同世代を中心とした職人さんたちとともに、独自のスタイルを確立させながら、自然素材を活かした建築プランを次々と生み出しています。 そんな守谷さんとシリカライムは2016年の出会い以来、一緒にイベントに参加するなど、ともに励まし合う間柄。いまではシリカライムの施行事例数NO.1の守谷さんに、ご自身のお仕事感やシリカライムについて、お話を伺いました。 Photographs by Takahiro Kumada(MECKELU,LLC)
――まずは、建築の仕事をはじめられて、現在に至るまでの経緯を教えてください。
守谷さん(以下敬称略) 19歳で父の仕事を引き継ぎ、重機オペレーターになったことがキャリアのスタートです。23歳くらいのときに、「これからは自分で仕事を生み出していこう」と将来を見つめ直すきっかけがあり、当時の同僚と一緒に会社を立ち上げました。知人のクロス職人を社員として採用して、クロス専門の内装業をやっていましたね。
その後、徐々にクロスだけでなく内装の相談が増えて、主に不動産の原状回復の仕事をしていました。当時は、まだリフォームの知識も経験も浅かったので、あちこちでトラブルが勃発(苦笑)。でも、同時進行でそれらを解決させていったおかげで、成長は早かったと思います。知り合いに大工や職人が多かったことにも助けられましたね。
――そこから「アートモリヤ」の前身である「Savvy.L」を立ち上げられたきっかけは何だったのですか?
守谷 そのうち設計士やデザイナーからフルリフォームなどの依頼がくるようになって、彼らと仕事をするうちに、その「質」を意識するようになったんです。数をこなすことや売り上げに振り回されるのではなくて、自分が本当にやりたい仕事、自分にしかできない仕事をしよう、という方向にシフトしていったんです。それで、2016年に自然素材を使ったリノベーション部門のブランドとして「Savvy.L」を立ち上げました。
――ちょうどその頃ですよね。はじめてシリカライムのショールームを訪ねてくださったのは。
守谷 そうですね、立ち上げとほぼ同時ですね。いい素材を探して東京で情報収集をしていて。そのときシリカライムを見つけたのは偶然だったんですけど、最初の商品説明でピンときて、めちゃくちゃ興味を持って。そのまま2時間くらい話を聞き続けてたことを、いまでも覚えてます。
――「アートモリヤ」で仕事をするうえでのこだわりは何ですか?
守谷 「人と信用」ですね。
やっぱり仕事は人と人なので、まず第一印象のフィーリングマッチは大切にしています。とくに僕は、スーツも着なければヒゲも剃らない(笑)。そこで「あれ?」と違和感を抱く人は、最初から僕を選ばないでしょう。でも、自分の服装や車、持ち物を見て、「こういう細かいこだわりや気配りのある人なら、いいものを作ってくれるだろう」と信頼してくれる人もいます。そのための努力は怠りませんね。
あとは、ヒアリングです。ほとんどのお客様が当然リフォームのことを何も知らないので、なぜリフォームをしたいのか、何を求めているかの真意を探るべく、打ち合わせではとにかくよく話し合って、最適なプランを提案したいと思ってます。うちは女性プランナーもいるので、主婦目線の提案ができるのも強みですね。さらに、僕たちが日々、インプットした知識や情報は、すべてお客様にアウトプットしたいと思ってます。なので、24時間つねに情報収集のアンテナは張っています。
――現場では、職人さんとのコミュニケーションをすごく大事にされていますよね。
守谷 そうですね、めちゃくちゃ話します。僕自身が職人出身で彼らの気持ちが分かるので、理不尽な要求はしたくないですし。だけど営業目線も忘れないようにしながら、現場を仕切るようにしていますね。ただ、湘南特有の”おだやかな空気”のなかで仕事しているので、現場にはしょっちゅう遅刻します(笑)。
――「アートモリヤ」を始めてから、心境の変化はありますか?
守谷 すごくありますね。仕事に対して「自分軸」を持てたことが大きいです。自分の「好き」という気持ちに忠実になったということです。自分の気持ちを無視して、忙しさやお金に惑わされると、いい素材や人との出会いを逃してしまう。反対に肩の力をに抜いてリラックスしていると、感覚が研ぎ澄まされて、チャンスをつかめるんです。
やっぱり仕事は好きなことをやるべきで、だからこそ情熱を傾けられるんですよね。とくに壁は、過去にクロスを専門にしていたからこそ自然素材の良さ、シリカライムの魅力をアツく語れるんです。好きな気持ちが完全に溢れちゃっているというか(笑)。
――ありがとうございます(笑)。実際にシリカライムを提案されて、手応えはいかがですか?
守谷 やっぱり自然素材に興味があるお客様には、シリカライムのパンチ力はすごいです。競合や比較材料があればあるほど、なおさら強いですね。 シリカライムのようなストーリーがある素材を提案して、その魅力を伝えることで、僕たちの思いや「好き」という気持ちに共感してもらえて、仕事を任せてもらえるんですよ。その積み重ねが、いい仕事につながっているんだと、最近気づきました。シリカライムと出会ったからこそ、いまのスタイルができあがっていったんだと確信しています。
――守谷さんが思う、シリカライムの魅力をぜひ教えてください。
守谷 意匠性と機能性を併せ持っていることですね。この二つが揃ってはじめて、空間がデザインできると思ってます。 見た目の面では、和室にも洋室にも合う質感なので、古民家のリノベーションとも相性がいいんですよ。 機能面は、湘南という土地柄、湿気やカビに悩むお客様が多いので、吸湿性の高いシリカライムはまさにうってつけですね。地元密着型でやっているからこそ、強みになります。
あとは消臭性も抜群ですよね。うちは事務所の壁もシリカライムを塗っているんですけど、社員みんなタバコを吸いますし、バーベキューもしたことありますが、全然匂いが残らない。本当、最高です!
――今後、やりたいことは何ですか?
守谷 経営者って、いろいろなことに興味を持ってフットワークが軽くあるべきなのですが、その一方で、一つのことを追求していくことも必要だと思っています。シリカライムと出会った頃の「Savvy.L」の「サビー」は、海沿い特有の「錆び」からきているのですが、英語のスラングで「一つのことを追求する」という意味もあるんですよね。 素材に対してもそうで、新しい素材に次々と手を出すのではなく、一つの素材としっかり向き合っていきたいですね。シリカライムも、まだ知られていない素材だからこそ、勉強を続けて突き詰めて、自分のモノにしていきたいですね!
壁について一言
Q:守谷さんににとって「壁」とは?
A:空間を構成する最大のキャンバスです。
守谷 空間をデザインするために絶対に必要なもの。床と天井があっても、それは「野外」です。でも、そこに壁ができることによって初めて「空間」になり、素材を選んだり、飾ったり、機能性を持たせたりといった「デザイン」ができると思っています。
建築クリエイター守谷玲太
1982年生まれ。プロサーファーを目指して活動した後、稼業を継ぎ建築の世界に。23歳の時にリノベーションメインのリフォーム会社「ラリーテクニクス株式会社 」を設立。2016年「Savvy.L」を立ち上げる。リノベーション・リフォームという枠には収まらないその感性、建築クリエイターとして2019年「株式会社アートモリヤ」へと進化し、現在もさらに進化中。趣味はワーゲン、サーフィン。 https://artmoriya.com/