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インタビュー

【特別インタビュー】「シリカライム」は、においを選ぶ。ー信州大学 西井良典教授

「長い旅行から帰ると、家の中からいい香りがした」ー。これは、シリカライムに寄せられたお客様の声です。長期間不在にしていた部屋に入ると、密室特有のこもったにおいがせず、天然の木材が発するいい香りが漂っていたのだとか。この不思議な現象のメカニズムを解明すべく、信州大学で有機反応・有機合成化学を研究する西井良典教授の協力のもと、ある試験を実施しました。 Photographs by Takahiro Kumada(MECKELU,LLC)

嫌な臭いを消臭し、いい香りは残す。
「シリカライム」のにおいの選択性

――まず、先生の普段の研究内容を教えてください。

西井教授(以下敬称略) 主に、医療品や農薬の新薬開発を目的とした、天然有機化合物の全合成を専門にしています。全合成というのは、入手困難な希少な天然物質を、入手容易な(たとえば砂糖など)を原料に用いて、試験管の中で大量合成することです。

有機合成の目的の一つは、人間に対する有害性を取り除き、副作用のない有用な作用だけを残すことです。たとえば、除虫菊を原料とした蚊取り線香は昆虫などの外骨格の害虫にだけに作用し、人間には作用しないですよね。こうした医薬農薬開発においては、何年もかけて研究を続け、「一万個にもおよぶ薬を作って、そのうち一つがやっと世に出る」というような世界です。

記憶に新しいところでは、2010年にクロスカップリング反応(※)がノーベル賞を受賞しましたが 、あれは自分たちの分野がノーベル賞を受賞したという感覚です。

(※)結合させることが困難な、有機化合物を構成するベンゼン環などの炭素同士を選択的に結びつける化学反応のこと。こ の研究に携わった日本人2人が2010年にノーベル化学賞を受賞した。

――最近は、魚のフェロモンについても研究されているとか。

西井 サクラマスやビワマスなど「Oncorhynchus masou」という学名の魚種を対象に、フェロモンを分子レベルで解明する研究を行なっています。この目的は、「フェロモントラップ」といって、フェロモンを使った有害生物の捕獲、また駆除に役立つような誘引剤の開発です。趣味の釣りがきっかけで始めたもので、趣味と実益を兼ねて没頭できています(笑)。

――シリカライムとの出会いも釣りがきっかけでしたね。

西井ある釣り仲間の自宅でお手洗いを借りたとき、消臭剤を使っていないのに不快な臭いがまったくしな かった。気になって尋ねると、壁材に「シリカライム」を使っているという答えが返ってきたんです。

その出来事がきっかけで「シリカライム」に興味を持ち、本試験に携わるに至りました。その結果、分かったことは、「『シリカライム』は、においを選択する性質がある」ということです。

<試験方法>
高濃度のにおい成分、全51種を溶液の中に溶かし、「シリカライム」による吸着実験を行なった。 試験結果は、酸性の強さを定量的に表すpKA(酸解離定数)で表示。 本来、においの実験は気体で行うことが多いが、極めて低濃度で行うため、試験として安定した結果が望めない。そのため液体で行ったことも、本試験の特徴の一つ。

――具体的にどのようなメカニズムなのでしょうか。

西井 まず「におい」について簡単に説明すると、においとは、空気中にある様々な物質の分子が鼻の粘膜を刺激して起こす感覚のことをいいます。鼻から入った情報は喜怒哀楽を司る「大脳辺縁系」に直接 届くため、においは感情との結びつきが強く、快・不快も左右します。

では「快=良い香り」と「不快=嫌な臭い」はそれぞれどのような特徴があるかというと、まず良い香りは水蒸気や水に溶けにくい(不溶・難溶)性質を持つものが多く、電極的に偏りのない、いわゆる中性のものが多い。たとえば、果実や草花、緑茶、ハッカやミントなどのにおいが該当します。

反対に嫌な臭いは、水に溶けやすく、酸性とアルカリ性で6割を占め、4割が中性で構成されています。足裏や便、タバコの副流煙などが該当しますね。とくに酸性のあのツンとしたにおいは、人間の本能が「危険なもの」と察知し、生理的に不快に感じるということが分かっています。

ーそれぞれの「におい」に対し、「シリカライム」はどのように作用したのでしょうか。

まず「シリカライム」には、水蒸気や水と結合する性質がありますよね。加えて今回の調査で、「シリカライム」の主成分である「天然水硬性石灰」が酸性物質と、もう一つの成分「音羽晶石」がアルカリ性物質と水素結合することがわかりました。

つまり「シリカライム」は、酸性・アルカリ性でほぼ構成される嫌な臭いだけに反応し、中性で主に構成されるいい香りには反応しないということ。もっと分かりやすく言い換えれば、「シリカライム」は、生活のなかで発生する不快な臭いを取り除き、自然の木や花の香り、天然のアロマなどの心地よい香りは消さないということです。

――「いい香りを残して、嫌な臭いを消す」という機能が化学的に実証されたことは、シリカライムにとって大きな強みになりました。今後も、リフォームや家づくりを検討されている、より多くのお客さまに知っていただき、体感いただきたいと思っています。

西井 そうですね。私も最近、長野県に家を建てました。そのときに希望したことは、やっぱり居心地のいい空間が欲しいということでした。とくに長い時間を過ごすリビングの快適性は重要です。

家について考えるなかで改めて実感したことは、住空間で快適な空間を作り出すものの一つは、壁だということです。壁は、室内の湿度を調整したり音を吸収したりする、空間の機能面を担っていますよね。皮膚や肌の快適性はもちろん、においがもたらす感情面の心地よさも同様です。家を建てたことで、この大切さをより実感しましたね。

壁について一言

Q:西井さんににとって「壁」とは?
A:空間を構成する最大のキャンバスです。

西井 研究者を志したときから、「壁はぶつかるもの」ですね。長年研究をしていても、必ずどこかで「壁 」にぶち当たります。そして、目標を達成させるためにも「壁は乗り越えていかないといけないもの 」だと思っています。

【ミニコラム】コーヒーの香りの秘密

コーヒーを淹れたときの、あのふわっとした香りが好きな人は多いはず。あの独特な香りは、一種類のにおい成分で決まるのではなく、実は800種類もの成分が複雑に入り混じり構成されているのだそう。そのなかには単独では強烈に不快なにおいのものもあり、なぜコーヒーがあのような良い香りになるのかは、未だ謎のままです。そんなコーヒーの香りには二つの効果があることが、杏林大学医学部の研究により明らかになっています。一つは「リラックス効果」、もう一つは「頭の回転を速くする効果」。どちらの効果を発揮するかは、コーヒーの種類によって変わるそうですよ。

西井良典

信州大学教授、博士(理学)。繊維学部 化学・材料学科 応用分子化学コース所属。有機化学、生物活性物質の全合成、魚のフェロモン研究を主な専門分野とする。趣味は釣り・スキー。