シリカライムのメンテナンス方法
年末に向けてそろそろ大掃除の準備をしないといけない時期になりましたね。
本日はシリカライムのメンテナンス (お手入れ・補修) 方法についてご紹介したいと思います。
樹脂成分が一切入っていないシリカライムのメンテナンス方法は、他の左官材とは大きく違います。
まず一つ目に、日々のお手入れが必要ないということ。
帯電する樹脂が入っていないので、静電気が発生せず、ホコリが付くということがありません。
クロスや他の左官材でも、換気口の付近に静電気で付着したホコリに排気ガス等が当たって黒ずんでいる場所をよく見かけます。
同じように実は目立たないだけで、部屋全体の壁に同じくらいの量のホコリが付着している可能性があります。
気にし始めるとキリがありませんが、お手入れを何もしないでいてもホコリが付かない点は、魅力的な建材です。
次に、小さな補修はご自身で行えるということ。
(シリカライムはご採用いただいた方には無償で補修材 (粉) をお送りさせていただいております。)
水で固まる左官材のため、ヘアクラック(※1)の補修には、お送りした補修材 (粉) をガーゼやストッキングなど、目の細かいもので包み、補修材をぽんぽんと埋め込みます。補修材を埋めた後は指で馴染ませるとクラック部分は目立ちにくくなります。
たったそれだけ。
あとは呼吸をするシリカライムが空気中の水分を吸い取るため、次第に固まってくれます。
※1:ヘアクラックとは、、髪の毛のように細く筋が入るようなひび割れの事。シリカライムでは石膏ボードなど下地のズレや開口部の開け閉めによる振動で起こる可能性があります。
お子様が壁を大きなキャンバスにしてしまった場合は、基本的には消しゴムを使います。
表面に付着した汚れ (クレヨン、色鉛筆、手垢など) の場合は、優しく消しゴムで汚れを移し取るようにしてください。(ゴシゴシこすらない)
内側まで入ってしまうような液体汚れには中性洗剤(ご自宅にあるものだと、食器洗い洗剤が中性のものが多いです)を使用してください。
中性洗剤はしっかりと泡立て、泡で汚れを浮き出して、水を含ませ硬く絞った布でふき取る作業を何度か繰り返します。
この時もゴシゴシとこすってしまうと壁の表情が変わってしまう恐れがありますので、優しくしてください。
家具などをぶつけて傷付けてしまった場合や、ヘアクラックではない大きな割れ(1mm以上の隙間)が発生した場合は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
傷の入り方や大きさによって対処方法が変わってきますので、写真を撮ってメールでお送りいただいてからお問い合わせいただければ、スムーズにご案内できます。傷が大きい場合には、補修が難しいケースもございますのでご了承ください。
テクスチャー (壁の表情) をつけた場合は、その溝にホコリや砂が乗ってしまう場合もあるかと思います。
特に玄関にご採用いただいた場合、雨の日など泥汚れが付く可能性もあります。
その際は落ち着いて、まずは自然乾燥をさせてください。
乾燥後に”ほうき”のようなもので乾燥した泥 (砂) を払ってください。
ホコリの場合もシリカライムは帯電性がありませんので、引っかかっているだけで付着はしていません。
乾いた布や先の硬すぎないほうきで払っていただければ取れます。
日本の住宅には、地震などで倒壊を防ぐため、あえて揺らして力を逃す構造で作られている建物があります。
そういった建物の場合、左官材はクラックが入る可能性が高くなります。
以前ご紹介したように、シリカライムは石灰を使用しているため、施工後も二酸化炭素と反応し、徐々に硬さを増していきます。
ペットが引っ掻いたり、子供が物をぶつけてしまったりすることに対しては強くなりますが、硬くなればなるほど、下地が揺れ動くのに付随してクラックが入る可能性が高くなります。
樹脂が多く含まれている場合は、樹脂 (糊) がクッション材の役割を果たし、割れにくくなることもあるかもしれません。
でも、樹脂が入っていると、静電気が発生しホコリは付くし、水分を含むとカビが生えるし……
樹脂の配合が多い製品では、せっかくの多孔質 (漆喰や珪藻土の特性) であるがゆえの機能性が失われる可能性も出てきます。
日本の伝統漆喰や珪藻土に、当たり前のように樹脂(糊)を入れないといけなかった理由は、それを入れないと固める事が出来なかったから。
日本に水硬性の石灰は存在しません。
日本の石のみで内装材を作るには、必ず天然もしくは合成の樹脂 (糊) は必要です。
シリカライムはフランスより水硬性の石灰を取り寄せ、長野県で滋賀県の天然石(音羽晶石)と配合し製造しています。
シリカライムは日々のお手入れの心配はありません。
年に2回、せめて1回は、どうぞ壁と向き合ってあげてください。
メンテナンスすると、心もスッキリ、穏やかな年末を過ごすことができるかもしれませんね。