インタビュー

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左官のある風景 インタビュー 左官のある風景 未分類

心地よい空気と愛犬と。
こだわりの家づくりを聴く。

新築の分譲マンションへの転居を機に、念願の塗り壁にしようと決めた上原さん。なかでも重要なリビングや廊下の壁はシリカライムを採用されました。きっかけは、以前「シリカライムマガジン」のインタビューにも登場いただいた、女性左官の野宮未葵さんとの出会い。こだわりの住空間づくりについて、お二人の出会いから施工までを思い出していただきながら対談形式でお送りします。

Photographs by Nobuhiko Tamura

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――まずは住まいを変えようと思われたきっかけを教えてください。

上原 以前は、交通量や人出の多い、繁華街の近くに住んでいたんです。でも、ここ数年の再開発にともなって工事現場が増えてきたり、休日・平日問わず観光地化してしまって…。もう少し落ち着いたところに住みたいと思い、物件探しを始めました。この部屋はモデルルームを見て気に入って、一階なのでお庭が使えて、愛犬とのんびり過ごせそうだなと思ったことが決め手です。

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野宮 お庭、いいですよね。これからの季節、気持ち良さそう。

上原 もともと健康には気を使っていて、無農薬の野菜を買ったり、薬膳を意識したり、ヨガに通ったりしていました。でも、食や運動といった身体的な面だけでなく、もっと心の健康といいますか、心地よさを大事にした暮らしを目指したかったんです。

そのなかでも、とくに空気には敏感で。以前住んでいた家は、場所柄、やっぱり排気ガスやホコリが気になって、空気清浄機を何台も置いていたくらいだったんですね。そこで今回の転居をきっかけに、以前から興味のあった土壁とか、漆喰にチャレンジしてみようと思ったんです。そこでたまたまテレビを見ていたら、野宮さんが出ていて!

野宮 ジョブチューンですよね?

上原 そうです。すごく元気にお話しされていたのが印象的で、ぜひこの方にお願いしたいと思ったんです。ネットで検索したところ、シリカライムのショールームで野宮さんのイベントがあると知って、すぐに見に行きました。そこで素材のことも聞いて、自然素材で接着剤が入ってないのがすごく良いなと思ったんです。

本来なら、いろんな素材を調べてサンプルを集めて、あれこれと比較検討する性格なのですが、今回は即決でした。これだ!という出会いですね。コンタクトをとったらすぐにお返事がいただけて、野宮さんからサンプルをいくつか見せてくださって。信頼していろんなことを相談できるので安心でした。

野宮 ありがとうございます。家のこと以外にも、いろんなお話をさせていただくなかで、上原さん自身の「好きなものや好きな感じ」が揺るぎなくあって、こだわりのある方だと分かったんです。

なので、私が一方的に提案するよりも一緒につくったほうがいい仕上がりになると思い、逆に私から何かをお願いしたり、お任せすることも多かったですね。部屋の一角を左官技術と組み合わせてタイル貼りにしたのですが、このタイルを探すところからお願いしました。

上原 そうそう。え?私が探すの?って(笑)。おかげでいろいろと勉強になりました。

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野宮さん発案のモザイクタイルの壁。目地にシリカライムの素材を使っている

――たしかにお部屋にある調度品も素敵なものばかりで、住空間へのこだわりを感じます。

上原 やっぱり自分の住む空間ですから、妥協はできなかったですね。転居にともなって家具を一新することも考えましたが、それはそれで違和感があって。なので20年以上使っている食器棚ですとか、実家で10年以上使っていた椅子など、大事にしてきた古い家具を中心に、新しい家具を組み合わせました。そのなかでもこのテーブルは、ちょっとこだわって買ったんですよ。

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――大理石の天板が素敵ですね。

上原 いわゆる真っ白な石色でなくて、この自然な色合いの天板を探したんです。天板と壁の色を合わせたかったんです。なのでインテリアショップに壁のサンプルを持って行ったりして(笑)。

――壁の色は「NATURE(ナチュール)」で、天井は「BLANC(ブラン)」ですね。色を変えたのはなぜですか?

上原 ここは1階なので日中、部屋が暗くなりそうだと想定していたんですね。

野宮 そのご相談を受けて、天井は白めの色にしたらいいですよ、と提案させていただきました。

上原 それで最初はリビングだけだったのですが、打ち合わせをしていくうちにキッチンと廊下も塗ろうということになったんです。ただ、リビングと同様に「NATURE」でキッチンも塗るのには、少し迷いがあったんです。やっぱりキッチンは油が飛んだりするので、明るい色だと汚れが目立ってしまわないか心配で。

それを野宮さんに相談したら、表面を円状に擦って仕上げる「TALOCHE(タロッシェ)?」のパターンなら、色が濃く見えるので汚れも目立たなくてオススメですと提案していただいて。完成を見たら、バラが描かれたような仕上がりになっていて、とても気に入っています。

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リビングの照明とデザインを合わせたみたいだと言われるのですが、偶然なんです。これも、野宮さんのセンスですよね。

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上原 お友だちが家に遊びに来ると、この空間を本当に褒められるんです。みんなにもやってほしいくらい(笑)。でも、壁はお洋服などと違って、ただ「素敵だから買おう」というものではないですよね。お引っ越しやリフォームをすることになって初めて意識するものですから。だからお友達には、そういうきっかけができたときに、この部屋を思い出してもらえたらいいなと思っています。

野宮 実際は住みながらだと作業的に難しいところがありますからね。家具を動かさないといけなかったりしますから。シリカライムは人工的な匂いがしないので、塗ったその日からでも住めるという利点はありますが。

上原 匂いでいうと、住み始めたときに新築特有の匂いがしなくて驚いたんです。しかもうちは愛犬が二匹いて、そのうち一匹はダックスフンドで結構匂いのする犬種なのにもかかわらず、室内で飼っている感じがしないんです。素材そのものの匂いがしないことに加えて、そういう空間に漂う匂いもすべて吸収してくれるんですよね。

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――たしかにお部屋に上がらせていただいたときも、生活臭などを感じなかったですね。

上原 あとやっぱり、空気が柔らかいんですよ。たとえば冬に部屋が乾燥しても、肌がガビガビしないというか、痛くないんです。空気が暖かくて、心地いいんです。

野宮 私は実家が土壁なんですが、冬に触ると暖かくて、夏に触ると気持ちいい。これが自然物のすごいところだなと思いますね。

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玄関から寝室までの廊下は、淡いグリーンが柔らかな印象の「VERT PISTACHE(ヴェールピスタッシュ)」色、コテ波の表情を楽しむ「NUAGE(ニュアージェ)」仕上げに。お嬢様の一押しで決定したという。

上原 今年はこの家で始めての夏を迎えるので、どんな空間で過ごせるのか、いまから楽しみなんです。あとはお庭づくりもこれから始めようと思います。ハーブやハナミズキ、あとはオリーブなど実なるものを植えて、自然いっぱいにしたいですね。

壁について一言

Q:上原さんににとって「壁」とは?

A:家を象徴するものです。

上原 同じ部屋に同じ家具を置いても、壁の質感や色で印象がかなり変わりますから。壁はその家の7割を決めるものだと思います。

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【職人プロフィール】

一級左官技能士
MIKI MADE 野宮未葵
のみや・みき 多摩美術大学卒。大学ではガラス工芸を専攻。2007年に有限会社原田左官工業所に新卒で入社。2013年に独立し、「MIKIMADE」の屋号でフリーランスの左官屋として活動開始。最近は、師匠とともに海外の案件も担当している。

過去の記事

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株式会社小林幹也スタジオ代表 小林幹也さん

家具やプロダクトデザイナー、インテリアデザイナーとして幅広く活躍し、国内外にクライアントを持つ小林幹也さん。その傍らで「暮らしの市場」をコンセプトにしたショールーム兼ショップ「TAIYOUno SHITA」を運営されています。そして今年1月、内装新たに目黒区碑文谷にてリニューアルオープン。そんな小林さんに、日々どんな思いでデザインをされているのか、「モノ」づくりの視点からとらえる「空間」のあり方とは何か、お話を伺いました。

Photographs by Nobuhiko Tamura(TN-Photography)